「続 山を探す」展 表裏の話 第六話「空間構成」

会場の奥には、京都で開催した『山を探す』展のDMイメージに使用した作品が掲示されています。この作品は『山を探す』において、私が山に登る理由の解に結びつく作品になります。

 

「なぜこの作品を大きくプリントしたのですか?」

という質問を会期中に何度か頂きましたが、理由は三点。

第一に、前作の解となる作品であること。
第二に、山に登っている感覚を味わってほしいこと。
第三に、左右の壁面展示を物理的かつ文脈的に分かつ境界であること。

特に、第三の理由は展示構成に大きく関わっていて、『山を探す』および『続 山を探す』の死生観を大きく転換させるイメージであるとも言えます。

昨日投稿した『「続 山を探す」展 表裏の話 第五話「心象風景」』でも述べましたが、被写体を対象として捉えているのではなく心象として捉えている、つまり「まるで○○のようだ」と言い換えると、このシーンから何かを想起するかもしれません。

 

CO-CO PHOTO SALON の展示空間は写真をご覧いただくとわかるとおり、写真左奥の空間が凹んでおり、入口からは左奥の作品が見えません。順路に沿って作品を辿り、しばらくすると左奥の作品が目に飛び込んでくるのですが、それまで見ていた山の作品とは異なるイメージに多くの方が驚くようです。

写真集でもページを捲るという行為で似たような体験をさせることは出来ますが、個人的には CO-CO PHOTO SALON の展示室の構造こそが臨場感を高めているように感じます。この体験こそが、展示に足を運んで良かった、と思わせる要因のひとつでもあるのでしょう。

 

最後に、左奥の壁面の作品群は『続 山を探す』の解を示すものとなります。会期は残すところあと2日。ぜひ会場で、皆様のその目で、ご確認頂きたく思っています。

 

 

川野恭子 写真展「続 山を探す」

会 期    2022年1⽉13 ⽇(木)〜 1月27⽇(木)
会 場   CO-CO PHOTO SALON 東京都中央区銀座3丁目11-14 ルート銀座ビル 4F
時間    11:00〜18:30 日曜日定休 (最終日17:00まで)
WEB   https://coco-ps.jp/exhibition/2021/07/134/
※ 在廊日時はTwitterなどでお知らせします。