「続 山を探す」展 表裏の話 第二話「あとがき」

今日は休廊日なので、少々踏み込んだ話をしてみたいと思います。

 

本展示では、順路の最後に「あとがき」を掲示しています。京都の「山を探す」展では掲示しませんでしたが、今回は続編ということで、作品背景をお伝えしないと理解できないと判断してのことです。

 

写真にテキストを添えることは賛否両論あります。写真というメディアを選ぶということは、五感のうちの「視覚」だけで伝えることになります。

 

視覚だけでどこまで伝えられるのか?

 

それが写真表現に求められるものだとしたら、テキストを添えるというのは野暮だというものでしょう。
ただ、写真と言ってもどのような目的で使うかによって、視覚だけで伝えるべき、という前提は崩れると思っています。

 

「続 山を探す」展は、写真集という形をした私小説に入り込んでもらいたい、という思いがありました。それにはどのような方法があるか検討しました。京都の展示では写真集そのもののを掲示するなど試みましたが、今回はそれを「あとがき」に代えてみたところ、ストンと受け入れられたのです。

 

このストンと落ちる感覚はなんだろう?と考えたとき、小説を読んだあとの読後感だと気付きました。

 

そのようなわけで、「続 山を探す」展は写真展という形式をとっていますが、「私小説を読ませる」ことが目的の展示ということになります。

 

ただ、私としては写真表現の美学を捨てたわけではないので、写真だけでも意図が伝わるよう制作しています。ですから、一巡目は写真だけから思いを巡らせて頂き、その後あとがきを読むか読まないは来場者に委ねたいと考えております。

 

もしもあとがきをお読み頂いたならもう一巡してみてください。そうすると作品の見え方が大きく変わると思います。

 

川野恭子 写真展「続 山を探す」

会 期    2022年1⽉13 ⽇(木)〜 1月27⽇(木)
会 場   CO-CO PHOTO SALON 東京都中央区銀座3丁目11-14 ルート銀座ビル 4F
時間    11:00〜18:30 日曜日定休 (最終日17:00まで)
WEB   https://coco-ps.jp/exhibition/2021/07/134/
※ 在廊日時はTwitterなどでお知らせします。