CP+2025 OM SYSTEMステージにて、川野のトークをご清聴いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。全2回のステージ、1回目はちょっとしたハプニングもありましたが、全力を出し切り、悔いのない朝を迎えております。
さて、少し長くなりますが、CP+を迎えるまでの思いを語らせてください。
この冬、OM-3での依頼を受け、初めて手にしたときは「まさかこの形で出てくるとは…」と驚きました。デザインも機能も、これまで川野が欲しかったものがすべて詰め込まれていたからです。だからこそ、OM-3の魅力が伝われば良いな…と全力で取り組みました。神津島へは二度渡り、天上山へは三度登り、写真も動画も並行して撮影し、川野とOM-3の世界観が交差するポイントを探り、試行錯誤しながらロケしました。
そもそも、撮影し始めるのが冬。OM-3は色表現を楽しむカメラなのに、冬の山は色がない。毎年の悩みではありますが、今年はさらに悩ましい。そして、OM-3を持つユーザー層を考えると、ガチ雪山ではない。さて、どうしたものか…とリサーチしてたところ、SNSで神津島天上山の写真が流れてきたではないですか。ビジュアルといい、名前のインパクトといい、登りやすさといい、島旅といい、ベストマッチなのでは?…と感じたのです。
実際、神津島は海も山も星空も、最高に美しい島でした。とにかく天上山が美しくて感動の連続。こんなに手軽に登れて美しい山なのに、どうして知らなかったのだろう…。とにかくこの感動を伝えたい。その一心でカメラを構え続けました。
旅から戻り、素材もそろったのでスライド作りに取り組んだわけですが、構成にはかなり苦労しました。OM-3は機能が多すぎて、40分という持ち時間ではどうしてもすべてを伝えきれない。見せたい写真はたくさんあるけど、自分のエゴだけでは製品の説明が薄くなってしまう。でも、製品説明だけでは感動は伝わらない。
このバランスをとるのが非常に難しく、結果、見せきれない、伝えきれない思いは、フォトブックやショートエッセイなどの配布物で補完することにしました。作家の押し付けといえばそれまでですが、時間をかけて足を運んでくださった方に、少しでも楽しんでいただく要素があるのも悪くないと思ったのです。
感動という点でいえば、今回取り組んだVlogは大きな役割を果たしたと感じています。写真だけでは伝えきれない臨場感を映像と音楽で補完できた、と大きな手応えを感じました。写真家だから…と避けてきた分野でしたが、今回の件によって動画への抵抗感が薄まったのは確かです。
また、楽曲生成AIを使えるようになったのも映像作品への抵抗が減った一因でした。個人的に、動画で一番大変なのはテーマに合うBGMを探すこと。著作権という壁がハードルを高くしていたのですが、AI技術によって一気に低くなりました。AIを賢く使うことも今回の件で学びました。
CP+のステージでは毎年、「来年はここにいないかもしれない」という思いを持ちながら立ち続けています。自分より写真が上手で集客力がある方はたくさんいらっしゃいます。次から次へ、新しい世代の方も登場されます。そのようななかで足踏みしていたら、どんどん埋もれてしまう。
新しい技術や知識を取り込み、自らをアップデートしていく。いくつになっても学ぶことを忘れず、さらなる感動を追い求めていきたい、そう思ったCP+2025でした。ご清聴いただきました皆さま、ステージに立たせていただいたOMデジタルソリューションズ株式会社さまにこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
今回のステージのアーカイブ動画はこちらからどうぞ。